2010年12月8日水曜日

偽装請負取締りに疑問

マスコミが扇動する偽装請負問題だが、請負の定義は明治時代に作られた民法によると思うが、これは元々19世紀イギリスの工場の実状に合わせた法律が元ではないのか。
当時は「職人」が工場で働いたので熟練した親方が未熟練労働者である「弟子」を監督、指導する必要があった。
また、マネージメントも未発達で工場側が全ての労働者を適切に管理することも出来なかったので、工場側も親方(監督者)を必要としたのである。

しかし、21世紀現代の高度に分業化され機械化された工場では必ずしも熟練を要しない。
未熟練労働者でも即戦力になり得る。
管理技術も進歩し、親方のような中間管理職の必要性は著しく低下している。

ましてや19世紀には存在しなかったIT業界(システム開発業界)にゴリ押しするのは、あまりにも実態を無視した悪しき形式主義ではないか。
少なくともIT業界は、自立性の高い頭脳労働であり監督者が作業中付きっきりになる必要は無いはずだ。
契約上の話は、現場技術者ではなく営業間の話である。
現場で何か不都合や問題が発生した場合は、現場技術者の所属会社の営業がフォローする体制が整っていることを条件に少なくともIT業界については偽装請負(一人請負)を解禁しても良いのではないか。
IT業界の実態に合わせ、一人請負など偽装請負と呼ばれる就労形態について特別法(請負の形式的定義に対して例外=実質基準を設ける)などで一部解禁すべきである。

IT業界は新しいスキルが次々と現れるので、全ての開発を自社の技術者(正社員、契約社員)で賄うことは非現実的だし不可能と言って良い。
技術者一人が習得し習熟できる技術は限られているからだ。
さらに慢性の技術者不足とオープン系開発環境でのIT技術の爆発的な多様化、細分化によりプロジェクトと技術者のスキル・マッチングもますます難しくなっている。
だから大手のシステム開発会社でも協力会社の技術者を必要とする。
派遣会社からの調達では、大手IT企業の購買部などの調達能力や管理負担の問題もあり限界がある。
現実問題として、直接取引のある協力会社に留まらず、さらにその数社先の協力会社の技術者まで探す必要が出て来る。
これをもし、強引に全て自社の技術者(社員)と直接取引のある協力会社の技術者だけで賄おうとすれば、プロジェクトと技術者のスキルのミスマッチが増大し、技術者の負担も耐えがたいものになる。
開発コストも教育コストも人件費も無限大に高くなってしまう。
日本のIT業界は全て中国などでのオフショア開発に逃避してしまうだろう(既にかなりそうなっている)。
これでは、日本のIT業界の衰退とレベルの低下しか招かない。
IT業界のネットワークが、日本のIT技術力と雇用を支えていたのであるが、偽装請負取締りはこのネットワークをズタズタに切断してIT企業と技術者の孤立化と衰退を招いている。

これは単に会社側の都合だけの問題ではない。
例えば、数社先に仕事があることがわかっていても偽装請負に抵触する可能性がある為、技術者もみすみす仕事にありつけず、長期失業(社内失業含む)が大量に発生している。
特にIT技術の多様化、細分化が日々進行する中、IT業界のネットワークを駆使しなければ技術者にマッチした案件(プロジェクト)を探すことはほとんど不可能と言って良い。
事実、既に生活保護を受けながら仕事探しをしている技術者や、IT業界に見切りをつけて警備員やタクシー運転手などに転職してしまった者も少なくない。
これでは、いったい誰の為の何の為の法律なのかわからない。
自己目的化したコンプライアンスの為のコンプライアンスは独善的で自己満足的な悪しき形式主義である。
国民の利益にも日本経済の利益にも全く結びついていない。
結果的に企業と雇用を圧迫し、産業の衰退を招いているだけである。

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