2010年12月25日土曜日

P/L型経営からB/S型経営へ:日本経済の構造転換

円相場は日本経済のファンダメンタルを全く反映していない。
超円高が日本経済の首を締め上げている元凶であることは火を見るよりも明らかである。
それにも拘わらず、アメリカの顔色を伺うだけの三流エコノミストやマスコミどもは現実を直視しようとしない。
それどころか、かつてアメリカといっしょになって日本政府の円売り介入をバッシングして公務執行妨害したのはマスコミどもである。

超円高の根本的是正が難しいのなら、日本経済と日本企業の戦略を根本から転換しなければならないが、竹中平蔵のような三流学者やマスコミどもは、高コスト体質の改善などと出来もしないたわ言を扇動して国民の経済的自由権を侵害し、産業・雇用の空洞化とデフレ体質を招いて日本経済の衰退に拍車をかけた。

高賃金、高コスト体質は成熟した先進国経済では不可避である。
それを発展途上の低賃金国相手に価格競争して国内のコストを下げろなどと扇動した竹中平蔵やマスコミは愚かである。
このような過ちは、従来型の製造業輸出型経済のできもしない延命を図ろうとする根本的錯誤から来ている。

日本企業がとるべき戦略は、P/L型経営からB/S型経営への発想の転換だと思う。
P/L(損益計算書)型経営とは、利益を損益法(収益-費用=利益)で計算することから、製造原価(コスト)が常に問題になる。
B/S(貸借対照表)型経営とは、利益を財産法(期末純資産-期首純資産=利益)の観点から観察し、新たなビジネスモデルを模索することを提案するものである。
具体的には、金融化(金融資本、資産、資産化で稼ぐ)、ソフト化(知的資本で稼ぐ)、新固定費型経営(売上と原価の分離)である。

財産法的発想に立てば、資産の増加が何よりも重要である。
つまり、金融業の高度化や一般企業の金融化である。
一般企業の金融化は、国内外への投資と配当収入の重要性の高まりなどである。
会計上の資産にとどまらず広義の資産に着目すべきである。

また、輸出戦略も製造コストが問題になるような量産品(消耗品)から超高級品(買う側にとってはある意味、資産・財産)への転換も必要だろう。
もちろん、今は超高級品需要は壊滅的だろうが、あくまで長期的視点からである。
これは日本よりはるかに早く高コスト化と市場成熟化を迎えたヨーロッパの企業を見れば理解できるはずだ。
ブランド品や超高級車はヨーロッパ企業の独壇場である。
これらを購入する金持ちにとっては価格は本質的問題ではなく、無益な低価格競争から逃れられる。
もちろん、全ての企業がそうなれる訳でもないし、そういう企業だけで経済全体をまわすことも出来ないので、あくまで限定的である。

また知的財産権(無形固定資産)などソフト化も重要だ。
知的財産権と言っても狭く特許権料で稼ぐという意味だけではない。
知的財産権に象徴される知的資本が経営資源として重要性を増したということである。
日本企業の強みは、これまで人材の質など人的資本にあった。
しかし、グローバル化と超円高、高賃金化で一気に弱みに転じてしまった。

新固定費型経営とは、P/L型経営の改革であり、売上と売上原価の個別的対応からの分離である。
売上と変動費の対応が直線的でないので、とりあえず新固定費型経営と称した。
例えば、無料でサービスを提供して収入は広告で稼ぐビジネスモデルに典型的に表れているように収益構造が分化、迂回化したものである。
もちろん人件費は発生するが、少なくとも売上単価と直結しない分、値下げ競争から距離を置ける。
今後、一見何で収益を上げているのか良くわからない複雑化した収益構造を持つ企業がより増えて来るかも知れない。

アメリカ企業は、実は既にこれらのB/S型経営に移行しているものと思われる。
金融バブルは破綻したものの金融ビッグバンの真の意義は本来そこにあると思う。
またアップルなどの製品が注目を集めているが、部品はほとんど外部へのアウトソースであり、製品の価値の本質はアイディア、つまりソフトにあると思われる。
日本のマスコミは、市場の重要性を主張しながら、一方で市場(アウトソースや中間マージン)を否定して、時代錯誤の内製化(=市場の否定)を叫んでいるが荒唐無稽であり矛盾している。
googleなどの検索サイトが、消費者への無料サービスの提供と広告収入で経営しているのは、新固定費型経営と言える。
日本企業は、これらのことに気づいていないので右往左往している。

最後に消費者の今後だが、これらのことを駆使してもかつての繁栄は取戻せないかも知れない。
成熟した経済社会、文明社会においては、マスコミや竹中平蔵のような連中が扇動する拝金主義を排して行く必要がある。
つまり、金から価値へと視野を拡大する必要がある。
価値の増大とは、文化力の向上であり、知的生産性(知恵)の向上であり、社会の質の向上である。
金の増大も良いが、価値の増大こそ重要である。
価値の増大への関心が高まれば、現在噴出している様々な社会問題への解決にもつながると思われる。
アメリカの猿真似で市場(金)で何でも解決できると扇動、洗脳して国民の精神的自由権を侵害しまくったマスコミや学者・評論家どもの質の向上と改革も不可欠である(こいつらの知的生産性が低すぎるのである)。

※この投稿は2010/8/1に書いたもの。

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