2013年2月11日月曜日

小選挙区の得票率と議席獲得率の乖離をグラフ化

2012(H24)/12/16の衆議院総選挙の開票結果を元に小選挙区の得票率と議席獲得率の乖離をグラフ化して見た(下方参照)。

43%の得票率で79%の議席を獲得した自民党、1.5%の得票率で3%の議席を獲得した公明党、0.2%の得票率で0.3%の議席を獲得した国民新党だけが、レバレッジ1倍超の恩恵を受けている。
それ以外の政党は、得票率未満の議席しか得られてない。
レバレッジとは梃子の原理とか借金して投資する意味だが、まさに自民党は、43%の委託証拠金(得票)で79%の権力(議席)を振るう権力の先物取引をしているようなものだ。
私は小選挙区&二大政党制を「カジノ民主主義」と呼んでいる。
残りの36%(79%-43%)は、選挙制度の歪みが生んだ有権者への負債(借金)だが、これは自民党以外の政党に入れられた票から勝手に補充されているようなものだ。
得票率と得票順位が曖昧未分化に混同された奇怪な選挙制度と言わざるを得ない。

小選挙区制では、得票率と得票順位をすり替えることにより、得票率と議席獲得率が極端に乖離する。
政治学的には、3乗法則と呼ぶらしいが、要は得票率が3次関数的に歪曲されるということだろう。
その結果、比較第一党は得票率以上に議席を獲得し、第二党以下は、得票率以下の議席しか獲得出来ない。
大量の票が議席に反映されず捨てられているに等しい。
不当に無視された民意、排除された民意とも言える。
国会は民意を排除する機関でなく、民意を鏡のように歪みなく反映するのが本来の役割だが、小選挙区制ではレバレッジ効果により民意が著しくデフォルメ(歪曲)される。

世界を見ても西欧の先進民主主義国は比例代表制が主流であり、小選挙区制を全面的に行っているのは英米などアングロサクソン国家くらいだ。
フランスも小選挙区制を実施しているが、二回投票制(決戦投票あり)である。
つまり、どうしても小選挙区制にこだわるなら、単独過半数の得票率のない選挙区は、決戦投票を行わなければ正当性が無い。
小選挙区制(定数1)では、各選挙区から1名の当選者が出る。
得票順位1位の候補が当選するが、過半数の支持(得票率)の無い候補が当選すれば民主主義の多数決原理に反するからだ。

ところが、2012/12/18/火の東京新聞のデータを元に集計してみたら、全小選挙区300議席の内、実に188選挙区(63%)で得票率50%以下(過半数未満)の候補が当選していた。
特に都市部で顕著である。
最大は近畿ブロックで、選挙区の79%(38/48選挙区)が、得票率50%以下で当選者を出している。
次が南関東ブロック(26/34選挙区)と東京ブロック(19/25選挙区)で76%ずつ。
最小は、中国ブロックで30%(6/20選挙区)。
個別に見れば、長野3区では27.77%の得票率で当選した民主党候補もいる。
72.23%が支持しない候補が当選したことになる。
もし、これらの選挙区で決選投票を実施していたら、結果が覆った選挙区は少なくなかったと思われる。
自民党の平均得票率は、43%に過ぎないのだから当然である。

つまり、日本の小選挙区制には重大な欠陥が三重にある。
①小選挙区制の民意歪曲効果(得票率と議席獲得率の乖離)
②決選投票がなく、単独過半数の支持(得票率)の無い候補が当選(1議席独占)してしまう(多数決原理の否定)
③小選挙区制≒二大政党制の政策近似効果により、実質的に有権者の選択肢が無くなる(投票の形骸化)。

これって多数決原理の否定?民主主義の否定?
まさに有権者を愚弄するペテン、選挙詐欺、政治犯罪ではないのか。
得票率と議席獲得率の乖離について、歪みの無い選挙制度(比例代表制や大選挙区制)への改革がベストだ。
中選挙区制は、既存政党間の馴れ合いや小政党の新規参入が難しく政治の新陳代謝が促進され難いのではないか、という懸念が残る。
また、同じ政党の候補が同じ選挙区で戦うことで、候補者同士の競合や公共工事の誘致合戦を招くという批判もあるようだが、これは政党の都合であって、有権者にとってデメリットとは言えないだろう。

いずれにしても選挙制度改革とは別に、得票率と議席獲得率のレバレッジ規制も設けて二重の対策が必要と思われる。
個々の選挙区と全選挙区の両方に上限を設ける。
個々の選挙区では、定数に達する得票上位候補者の合計得票率が50%超(過半数)になるまで、決選投票をする。
全選挙区レベルでは、各政党の得票率と議席獲得率の乖離に上限(例:1.1倍)を設ける。
上限を超えた場合は再選挙するか超過分の議席を各党の得票率に応じて再分配する。
議席を再分配すると、個々の選挙区で過半数の得票を得た候補でも得票率の相対的に低い候補は落選扱いになり、これはこれで問題だが、より高いレベルから制度の歪みを是正するコストと看做すしか無い(そういう選挙制度は最初から採用すべきでないのである)。
いずれにしてもこの場合でも歪みは完全には是正されないので、最初から歪みの少ない選挙制度に改革するのがベストである。

こうした小選挙区制の欠陥を矯正する為に、現在、衆議院は小選挙区比例代表並立制なるものを実施している。
制度の意図に沿って投票するなら、小選挙区は二大政党から選び、比例区は二大政党以外の政党に入れるべきだと思うが、現実は全くそうなっていない。
特にマスゴミが、投票日前に比例区の投票先を世論調査と称して公表し、有権者の投票行動に不法に干渉しまくっている(秘密選挙の侵害であり法規制すべきだ)。
見出しで『比例投票先は○○党が優勢♪』などと大々的に報じるが、大抵、二大政党である。
小政党には入れるなとマスゴミが暗に世論誘導しているのである。
つまり、小政党の為にある比例区も二大政党の分捕り合戦の場にしかならないので、制度の意図を十分には果たしていない。
憶測報道による既成事実化(世論操作)であり、法規制が必要だ。

小選挙区論者は、比例代表制では小党乱立して政治が不安低下すると批判するが、これは政治学的に否定されている。
小選挙区制でも理論的には小党乱立し得る。
このような主張に100歩譲ったとしても、歪曲効果が無原則(事前に不確定)に働く小選挙区制はやはり重大な欠陥があると言わざるを得ない。
比例代表制に比較優位の要素を加味して、各政党の得票率を例えば最大1.2乗(1.5乗以上では歪曲効果が大きすぎる)して集計し直した修正得票率を使うならまだ歪曲効果が透明(予め計算可能)と言えるが、やはり好ましいとは言い難い。

以上、小選挙区制の欠陥に対する解決策は、下記の通り(優先度順)。

①選挙制度を得票率と議席獲得率の乖離が無い比例代表制や大選挙区制に改革する。
②得票率と議席獲得率の乖離(レバレッジ、歪曲効果)に上限を設ける。
 個々の選挙区レベルは、定数に達する上位候補者の合計得票率が過半数になるまで決選投票を実施する。
 全選挙区レベルでは、政党得票率と議席獲得率の乖離が一定の上限(例:1.1倍)を超えた場合は、超過議席を各政党の得票率に応じて再分配する。
③比例代表制で万が一、小党乱立して支障が生じた場合は、比例代表制に比較優位の要素を加味した修正比例代表制にする(各政党の単純得票率を例えば最大1.2乗して再集計した修正得票率で議席を配分)。


それにしても今回の総選挙でレバレッジが1倍超えているのは、自民党と公明党(と国民新党)というのも出来すぎた結果に見えなくもない。
まさか、ネットで流布しているような大規模な不正選挙があったとは信じたくないが、
万が一ということもあるので、次回から日本にも国連選挙監視団に来てもらった方がいいかも知れない(失笑)。

■集計表とグラフ(クリックして拡大表示)


■データ

平成24年12月16日執行 衆議院議員総選挙・最高裁判所裁判官国民審査 速報結果
届出政党等別得票数(小選挙区)
都道府県別届出政党等別新前元別当選人数(小選挙区)

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